母は花が好きだった
母の話がしたい。
母は正気だった頃、植栽が好きだったらしい。
正気を失くした頃に物心ついた私は「植栽」とまでいかなくても、花が好きな母を知っている。
幼稚園の送り迎え、一緒に帰る昼下がり。
母とともに立ち寄るスーパーの花屋さんで母が花を買い求める。
メインの花は季節によって変わるが、大抵かすみ草がついていた気がする。
だから、母といえばかすみ草だ。
母の法名に「栽」の字が使われている。
一周忌にお寺さんに聞いてみた。
「母の仏前にいろんな花を飾りたいのですが、ルールはありますか?」
「和名のある花ということになってはいるけど…なんでも好きな花を飾りなさい」
さすが、なんでもありの浄土真宗だw
母の命日に小さなブーケを買ってみた。
痛んだので捨てて、思い出したらまた飾ろうと思っているのに、まだその日は来ない。